Designer's Corner

編み込み家具の魅力

自宅でリゾートのようなインテリアを楽しむ

by Jennifer Tzeses 2019820

アージェント・デザインのニコラ・フォンタネッラ氏がデザインした、ガラス張りのアトリウム。編み込みのモダンな椅子が空間に面白味を添えている。COURTESY OF ARGENT DESIGN

「マンション・グローバル」では定期的に、世界各国で高級不動産物件を手掛けるトップデザイナーを招いて1つのトピックを深掘りしていく。今週は「編み込み家具」で魅せるインテリアデザインのテクニックを紹介。

「編み込み家具には、素材そのままの、心地よい触感があり、味わい深い印象を演出することができます。また屋外で使われることが多く、リゾートのイメージを彷彿(ほうふつ)とさせます。インテリアに使用すれば深い温もりを醸し出し、より親しみやすくリラックスできる空間に仕上げることができるのです」と語るのは米カリフォルニア州サンディエゴにある「トレイシー・リン・スタジオ」のデザイナー、クリスティーン・ハリス氏。

家のどこに配置しても素晴らしい演出をインテリアにプラスしてくれる編み込み家具の魅力について、マイアミとロンドンに拠点を置く「アージェント・デザイン」のオーナー、ニコラ・フォンタネッラ氏は次のように述べる。

「部屋のルック&フィールに、質感があって触感に訴えかける素材を採用することはとても重要です。編み込みの加工を施した家具をインテリアに追加すれば、一段上のラグジュアリーを演出することができます。この繊細なディテールを生み出す装飾的な工夫を凝らすことで、クライアントに対して、真にカスタムメイドなインテリアデザインを提供できるのです」

細部にまでこだわったビスポークなインテリアを実現するために、デザインのプロたちは次のように助言している。

ディテールにこだわる

フォンタネッラ氏はディテールの重要性についてこう語っている。

「洋服のコーディネートにアクセサリーを加えるのと同じように、編み込みの素材や家具はインテリアのハイライトとして使えるので重要です。ゴージャスな編み込み素材の素晴らしさを演出する場を作り、異なるマテリアルや家具でさらに引き立てると効果的です。クライアントのために洗練された美しさを実現するため、家具に使用されている木材を光沢のあるラッカー塗料で仕上げることもよくあります」

「最新の大仰な作りの家具は、数年もすれば時代遅れに見えてしまいます。しかし、モダンな仕上げの名作家具ならもっと長い期間に渡って楽しめるだけでなく、調和のとれたインテリア空間を実現できます。編み込み加工を施したレザーやスエード素材は耐久性と高級感があり、またインテリアにシックなアクセントを加えてくれるのです」

バランスを見極める

ハリス氏は、バランスの重要性を説く。

「編み込み家具を上手に採り入れるには、編み込みの密度にバリエーションを持たせると良いでしょう。また、程よく色褪せたホワイトやグレー、ネイビーなどの色味をミックスすることで、自然の素材を用いたインテリアが陥りやすい、木材ばかりの印象が強くなり過ぎることもなく、存在感を際立たせることができるのです」

「リゾート感を必要以上に出さないため、編み込み家具の割合を部屋全体の25%以下に抑えるのが良い目安になります。例えばリビングルームなら、ソファは布や革張りにして、編み込みの椅子をアクセントに採り入れると良いでしょう。またコーヒーテーブルとサイドテーブルは編み込みのものにせず、異なる素材のものを採用するのもポイントです。また、よりモダンな、あるいはナチュラルなリネン素材の編み込み家具も効果的です。布地、ラグ、アートなどを編み込み素材と対比させると、ありがちなリゾート風インテリアを避けることができます」

編み込み家具を使うことでダイニングルームにアウトドアの雰囲気をプラス。デザインはトレイシー·リン·スタジオでクリエイティブ·デザインのディレクターを務めるクリスティーン・ハリス氏。PHOTO: RYAN GARVIN

「部屋をモダンな印象に仕上げるには、明るい色の壁や中間色を用いて、そこに、例えばバリ島の雑貨を組み合わせます。さらにモダンなアート作品やファブリックを配置して、空間全体を編み込みのインテリアでまとめましょう」

「簡潔に言えば、“Less is more”(=少ないほど豊か)が原則で、編み込み家具を控えめに採り入れることで、温かみのあるインテリアを実現できます」