Market Reports

中堅都市が高い伸び 高級住宅価格の動向示すプライム・グローバル・シティーズ指数

ナイト・フランクによると、世界主要45都市の高級住宅価格指数は2019年第3四半期に前年比1.1%上昇となり、過去5年間で最低の伸び率となった

by YALING JIANG 202016

ナイト・フランクのプライム・グローバル・シティーズ指数が対象としている全45都市中、2019年第3四半期の1位はモスクワだった。PHOTO: PIXABAY

英国不動産コンサルタント会社「ナイト・フランク」が最近発表したレポートによると、ロンドンやニューヨークといった世界トップクラスの都市では高級不動産の価格が引き続き振るわない一方で、中堅の都市が好況を呈しており、その傾向は高級不動産の価格にも反映されている。

同社が発表した「プライム・グローバル・シティーズ指数」は2019年第3四半期に1.1%上昇となり、過去5年間で最低の伸び率だった。同指数は、世界主要45都市の高級住宅の価格動向を調査した結果に基づいている。今回は、ルーマニアの首都で同国最大の都市ブカレスト(0.7%上昇)が初めてランクインした。

ナイト・フランクによると、価格上昇率が低下した背景には、世界的に不透明な政治情勢があるという。激化する米中貿易摩擦、香港での政治的緊張、2020年に差し迫る米大統領選、そして難航するブレグジット(英国の欧州連合からの離脱)などが買い手を慎重にさせている。

第3四半期に最も高い伸び率を示したモスクワは、11.1%上昇となった。高級住宅地に数多くのハイエンドレジデンスが建設されたことが一つの要因だという。続いてフランクフフルト(10.3%)、台北(8.9%)、マニラ(7.4%)、ベルリン(6.5%)がトップ5に入った。

一方、台北、マニラ、広州、デリーなど多くのアジアの中堅都市が順位を上げた。

中国南部の都市、広州は、インフラ整備が功を奏し6位にランクイン。過去5年間で最も高い上昇率を示した。

世界トップクラスのグローバルな都市の多くで、高級物件の販売件数がここ数年で一番の落ち込みを記録している。今回は、ロンドン、ニューヨーク、香港、ドバイといったかつてのトップ市場は全て、リストの下から10位以内と低迷した。

韓国の首都ソウルは前年と比べて12.9%下落し、最も大幅な下落となった。